アキバコンピューター ABC-o33 開発秘話
辟易していた。

「画像安定装置の購入を検討しているんですが…」というお問い合わせが、秋葉原の店舗やWEBショップには毎日届きます。
アキバガレージは日本でも屈指の画像安定装置の販売店ですから、当然のことです。
お客様からの相談内容は、似て非なるもので実に様々。ひとりひとりの環境・状況を時間の許す限りしっかりとヒアリングし、最も適した機種をご案内してきました。

そんな中で、我々は辟易していました。

本当にお客様が望んでいる画像安定装置を、お届けできているだろうか?

(…いや、足りない。)

各社より発売されている画像安定装置またはHDMIレコーダーは、素晴らしい製品ばかり。
まさにお客様の心をくすぐる、かゆい所に手が届くモノです。

購入したお客様は皆、満足していることを知っている。

(…だけど、まだ足りない。)

我々は知っていたのです。
これまでに得ることが出来た満足は、画像安定装置の【限界】を知った上での満足であり、規格内での機能・品質・仕様・サポート…。

もしかしたら、妥協があるかも知れない。
もし、限界を超える画像安定装置があったなら、お客様は本当は、それを望んでいるのかも知れない。

世界初のブルーレイデュプリケーター「BLADE-BD」を開発したアビカという会社が次にすべきことは、「限界を超える画像安定装置」を開発すること。

そして、2014年冬。プロジェクトを立ち上げました。
「限界を超える画像安定装置を作ろう」

もはや画像安定装置ではないモノが出来る。

まずは、誤解しないでください。
今回開発したモノは、皆さんが必要としている【スペシャル機能】を搭載した画像安定装置・HDMIレコーダーとして使用できます。

しかし、現在4~5万円相場である他社製機材が持ちうる機能は、コレにしてみれば【数ある機能のうちのひとつ】に過ぎないのです。
つまり厳密に言えば、コレは画像安定装置ではなく、画像安定装置の機能を持つ別の何かなのです。

最新型画像安定装置、でもなく。

高級HDMIレコーダー、でもなく。

我々は、「アキバコンピューター(ABC-o33)」(以下、アキバコ)と命名しました。

アキバコという名前を付けた経緯は後述するとして、この機械には、パーソナルコンピューターやファミリーコンピューター登場のときと同様の【無限の可能性】が詰まっているのです。

最強の画像安定装置を作ろうという思いを突き詰め、さらに突き詰めたら、画像安定装置ではないモノが出来上がり、そして次の4つの目標ができたのです。

4K(機能・期待・回帰・可能性)

2020年の東京オリンピックの頃には、一般家庭に普及しているでしょうか。4K(フルハイビジョンの4倍の画素数を誇る高画質の映像)です。
我々が目標とする4Kは少し違っていて、それは機能・期待・回帰・可能性です。

●機能
もちろんまず最初に、画像安定装置としての機能。これを語らずにアキバコを語ることはできません。
他社の機材では、録画する動画の容量が4GBを超えると、その時点で1ファイルが作成されてしまいます。デジタル画質での録画を謳う機種ほどデータ容量が大きく約60分弱で1ファイルとなり、例えば2時間ものの映像を録画した場合は2~3個のファイルが出来上がります。長時間の映像データをひとつにまとめようとすると、それを繋ぎ合わせる作業を必要としていました。
これは、データ記録媒体である外付けハードディスクのフォーマット形式が【FAT32】対応ということで、言わば仕方のない仕様でした。

まさにこれが、画像安定装置の【限界】でした。

アキバコで実現したかったひとつ目の目標は無制限録画です。常識を覆し【NTFS】形式の外付けハードディスク対応にしたことで、1ファイルにつき何時間でも連続録画ができるようになりました。
ファイル容量が大きくなると、データ読込に時間がかかり通常のプレイヤーでは読込遅延や最悪の場合、機器のフリーズが起こります。この問題を解決すべく導入したのが、万能プレイヤー【KODI(コーディ)】です。
簡単に起動できるKODIでは、大きなデータ容量の動画もスマートに再生することができます。さらに、もっと大きな副産物を、KODIはアキバコにもたらしてくれます。
我々はそれを【シークレット機能】と名付け、この場でも多く語らない事とします。その訳は、次の項目に移しましょう。

●期待
技術は進み実現可能とされていたが、どのメーカーもついに開発しなかった【ブルーレイデュプリケーター】
2014年春、これをBLADE-BDと命名し発売した我々に向けられたのは、賞賛の声と次への期待でした。

「また、何か面白いモノ作ってよ!」

期待に応えたいという思いが推進力になりました。
そして、どんな時代も、面白いモノには人が集まってくるのです。

アキバコは、スペシャル機能搭載の限界突破をした画像安定装置としての機能がありますが、これを僅か一部の機能でしかないとお伝えしておいて…、それ以外の機能については【シークレット機能】とし多くを語らない…。
これで面白いと思わない方はいないでしょう!

もったいぶって、少しケチだと思われるでしょうか?

…かまいませんよ?

●回帰
かつて、アキバガレージの「BLADE」シリーズがアナログ画像安定装置の市場を大きくシェアした時代がありました。
アナログ機を4機種発売し、一躍、秋葉原の裏モノ家電界の一メーカーとしての地位を確立しました。

数年が経ち、アナログ機器からデジタル機器への移行に合わせてアナログ「BLADE」シリーズに終止符を打ち、原点回帰で発売した「BLADE-BD」
そしてついに、デジタル画像安定装置、HDMIレコーダーの決定版である「アキバコンピューター(ABC-o33)」を発表致しました。

この度、我々は正真正銘の原点回帰をすべく、「BLADE」の型番を踏襲しませんでした。

こっそり持ち運ぶのに丁度良いサイズと重量。角が丸く、出し入れの際に手先を傷つけないフォルム。誰でもすぐに覚えられる名前。
このレベルから製品を見つめなおし改良を重ねました。
ノウハウを全て詰めこみつつも、ユーザーの目線を一番に考慮し、初めての子どもを授かるような…、暖かくて愛おしい感情でアキバコを育てています。

アナログ時代に駆け上った軌跡を、我々はまた、一歩目から踏み出すのです。

●可能性
なぜ、また一から始めるのか。
それは、このアキバコが、まったく新しい時代を作り出すやもしれない逸品だからです。

これまでのアキバ系家電の常識をはるかに超えるポテンシャルと、使用する方の好みに合わせてカスタマイズ出来る高い自由度、次に何が出てくるのだろうというワクワク感。
全てが、まったく新しい遊びになります。【シークレット機能】を少しお話すると、アキバコにはLANケーブルが差せるようになっていて、インターネットに接続することが出来ます。
これに、無限の可能性を見出しました。
いかにパソコンから離れるかという要素も含んでいるアキバ系裏モノ家電ですが、その発想すら覆してしまったのがアキバコです。

パソコンを買うか、アキバコを買うか。そういった選択をする日が、近い将来くることを願っております。

日本をあっと驚かせるモノ

 今回、我々が開発したアキバコは、古くからあるニッチな家電を好む方にはもちろん、時代の先端を知りたいと望む方にもぜひ触って頂きたい製品です。
そして、パソコンというものを敬遠してきた方にも非常に扱いやすく取っ掛かりやすい作りになっていますので、自信を持っておすすめできます。

 商品としてお客様のお手元に渡るまでは、どんな言葉を尽くしても手前味噌になってしまいますが、きっとアキバコは日本中で驚きを生むこととなるでしょう。
(それでもやっぱり、密やかに広まることを望んでいる。というのは、我々の性分かも知れませんね。)

ついに完成

 アキバコの開発には約10ヶ月を要し、ついに完成致しました。

大幅な仕様変更などもなく至極順調に生産が進んでいるというのは、企画段階からの命題であった「限界を超える画像安定装置を作る」という方針にブレがなかった為だと自負します。

 ただ、唯一誤算があるとすれば、製品開発のあいだ、開発陣・スタッフ共々

「楽しすぎた」

せいで、本当なら半年ほどで完成していてもおかしくなかった製品が10ヶ月も掛かることになってしまいました。

 おかげで、もはや画像安定装置の機能がごく一部になってしまうほど、遊びがいっぱいの製品に仕上がりました。

HDMIデジタル入力レコーダー&多機能メディアプレイヤー アキバコンピューター ABC-o33は、小さい本体にたくさんの機能が詰まっているのに、通称「アキバコ」です。

 それは、いまはまだこの機械は空っぽで、使用する方の思いのままにカスタマイズすることで成長していくからです。

世界にひとつ、あなただけのアキバコを作り上げてください。